美容鍼(びようばり)とは鍼灸の施術を顔や身体に行うことによって気の流れを整え、血行を良くし肌や筋肉を活性化させて美肌・リフトアップなどの効果をもたらすことを目的とした鍼灸治療です。
美容整形よりも手軽で副作用の心配もないため欧米などの美容先進国でも関心が高くハリウッド女優にも愛好者が多いことで話題になっています。
一つには顔に多く存在する美容のツボを鍼で刺激することにより顔の筋肉(表情筋)に直接働きかけて硬くなった筋肉(シワの原因の一つ)をやわらかくしたり、低下した筋力(たるみの原因の一つ)を向上させることが出来るからです(リフトアップ効果)。
また皮膚にも直接働きかけるため血流やリンパの循環を良くし表皮に十分な水分や栄養を行き渡らせ皮膚にたまった老廃物を運び去るのでターンオーバー(皮膚の代謝サイクル)を円滑に行わせ肌を若返らせるのです。
もう一つは全身治療による「健美」の達成です、「健美」とは「健康を基礎として成立する人体美」という意味です。
中医学では顔色や皮膚の変化は内臓の働きや全身の健康状態に反映することが知られており、顔色や皮膚の状態を観察することで内臓や全身の状態を診断する手段の一つ(望診)としています。
全身に鍼治療を行うことにより気の流れを正し、自律神経の活動をコントロールして内臓の働きやホルモン分泌を整えて、バランスを崩した心身を健康な状態に戻すことで身体の内部から美しくするのです。
昨今の美容業界では「インナー・ビューティー」という言葉やコンセプトが注目され「身体の中から美しくなる」(健康を維持・増進することによって美容を実現する)という考え方がようやく一般的になりつつありますが、東洋医学では何千年も昔からこのような考え方を基本としてきているので鍼灸が美容に効果的なのも当然といえるでしょう。
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「ツボ」とは俗称で専門的には経穴(けいけつ)といいます(奇穴・阿是穴と呼ばれるツボもあります)。経穴は経脈上に存在し気の出入りするところで全身にある合計361穴がWHOジュネーブ会議で認められています。
経脈とは絡脈とあわせて経絡という気血が流れる通路のことです。東洋医学では経絡は全身の体表面上を張り巡っているとされており、主に身体の深部を縦に流れるのが経脈で体表面の浅いところを網の目状に流れるのが絡脈です。
経脈は身体の深部を流れ臓腑(いわゆる内臓ではなく、内臓の働きと各内蔵の相互のバランスの総称のようなもの)にも直結しているので、外部から入っ てきた邪気が臓腑に達する、または臓腑の働きが変調し気血のめぐりに影響すると、経脈の流れを通して体表面上の経穴(ツボ)に反応があらわれます。
このように経穴は疾病状態の際に何らかの反応を現す部位で、その反応の内容は診断を行なうための重要な意味を持ちます。経穴は気血の変動が現れるポイント(診断点)であり、また気血の変動を整えるための重要な治療ポイント(治療点)でもあります。
治療点としての経穴はそれぞれに特有の治療的作用を持ち臨床に応用されています。ひとつは所属する経脈に波及する効果であり、もうひとつは経穴が存在する部位、およびその周辺への効果です。
例をあげると有名な経穴のひとつである「足三里」(松尾芭蕉は「奥の細道」の冒頭部分に「~三里に灸すゆるより、」と記しており足三里の灸で長旅に 備えていたようです)は足の陽明胃経に所属するので胃腸症状に対する効果があり(レントゲンで胃の映像を見ながら足三里に鍼を行ったところ胃が活発に動き 出したという記録も残っています)。また部位としては足(脛の上部)にあるので足の疲れや膝痛に対する効果も併せ持っています。

美容鍼に使用する顔面部のツボも主に胃経・大腸経・小腸経・胆経・膀胱経・三焦経とよばれる経脈に所属する経穴(奇穴とよばれる経脈上にないツボも使用しますが)が多いので食生活による胃腸症状・ストレスなどの精神症状・全身の水分代謝などが顔に影響を現し、またこれらのツボを刺激することで顔面部に効果があるのはもちろん全身の症状にも働きかけることが出来るので身体の内と外から美しくなれるのです。
とはいえ顔面部は刺激に敏感で出血しやすいですから顔面部の経穴だけで全身に効果を出すよりも全身の経穴を使って身体のバランスをとり健康で美しくなるほうがリスクも少なくて効果も高いと思われます。
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